送配電部門における効率化の取組状況について
送配電事業を取り巻く事業環境は、中長期的な人口減少や省エネの進展等により電力需要が伸び悩む一方で、再生可能エネルギーの導入拡大や高度経済成長期に整備された送配電設備の高経年化への対応が増大するなど、大きく変化しつつあります。
こうした事業環境の変化に対応し、将来的に託送料金を最大限抑制するため、経営効率化等の取組によりできるだけ費用を抑制していくとともに、再生可能エネルギーの導入拡大や将来の安定供給等に備えるべく、計画的かつ効率的に設備投資を行っていくことが求められております。
このような状況を踏まえ、当社は経営効率化の更なる深化に努めております。
効率化の取組状況
調達コスト低減検討会の設置
- 調達コスト低減に向けた取り組みとして、資材部及び各技術主管部のグループ長で構成する「調達コスト低減検討会」を設置しました。
- 当検討会では、調達コスト低減にかかる各施策の実績、調達計画、競争発注比率などを部門間で共有し、更なるコスト低減に向けた検討に取り組んでおります。
- 当検討会での検討・報告事項については、必要に応じ経営層で構成する会議体で報告します。

コストオン方式の採用
- 請負会社が調達する資材(業者持ち資材)の一部について、当社が競争見積りにより契約先および資材価格を決定することで、競争原理を働かせ、工事資材の調達コスト低減を図っております。
- ①請負業者が調達する資材(業者持ち資材※)の一部について、当社が競争見積りにより、契約先および資材価格を決定する。 ※電柱に装着する金具等
- ②当社、資材調達先および請負会社の3者間で価格等について協定を締結
- ③請負会社と資材調達先で売買契約を締結
- ④当社と請負業者との請負契約単価に反映

共同調達、一括発注の実施
- 資機材の調達にあたっては、他電力との共同調達や一括発注等、多様な発注方法を採用し、調達コストの低減に努めております。

ポリマー製ブッシングの採用
- 変電所の機器に使用しているブッシング※について、これまで磁器製を指定して発注していましたが、全国大でポリマー※製ブッシングの適用拡大が見込まれる事から、当社においても配電用の変圧器や遮断器について、いずれも採用可能として発注することで選択肢が増え、コスト低減が見込めると考えております。
- ※ブッシング:電気を絶縁する碍管(がいかん)ならびに電気が流れる導線で構成されている端子。外部からの電線をつなぎこみ、機器タンクから絶縁・支持するために用いる。
- ※ポリマー:外被材としてシリコーンゴムなどの有機材料を組み合わせたもの。磁器製に比べ軽量かつコンパクトなため耐震性・施工性に優れている。

(参考)
写真中のブッシングは磁器製。※現在、ポリマー製ブッシングの納入実績はありません。
柱上変圧器取替工事の効率化
- 一般ご家庭に電気を供給するには、柱上変圧器で電圧を高圧(6,600V)から低圧(100V/200V)へ変換する必要があります。
- 柱上変圧器の容量30kVA、75kVAについて、低圧側の電線である低圧引上線の電線許容電流の見直しを行い、30kVAについては電線数の減、また、75kVAについてはケーブルサイズの見直しを行い、コスト低減を図っております。

供給用変圧器室の点検周期見直し
- マンションなどの中高層集合住宅等は、低圧契約の個別のお客さまが集合していることから、多数の柱上変圧器が必要となりますが、電柱による供給が技術的に不可能な場合、建物の一部(供給用変圧器室)を提供頂き、電気を供給しております。
- 室内の変圧器は、外部に設置する場合に比べ錆や破損などの不良指摘が少ないことから点検周期を見直すことで、コスト低減を図っております。(1回/年から1回/2年へ変更)

自動電圧調整器の修理・改造による調達費用削減
- 配電線路が長くなると、電圧降下を補正する自動電圧調整器(SVR)の設置が必要となるケースがあります。
- 再生可能エネルギーの接続量増加に伴い、従来型のSVRとは別に逆潮流に対応したSVRが必要となるケースがありますが、従来型のSVRを修理・改造し逆潮流型としてリユースすることで、コスト低減を図っております。
