大宜味風力発電実証研究設備

(1)研究の背景
風力発電は環境に優しいエネルギーとして注目される一方、その出力は天候により大きく変動するため、電力系統に大量導入されると、電圧や周波数等、電力の品質に影響を及ぼす恐れがあります。
当社は、沖縄本島の電力系統に風力発電を大量導入した場合の系統安定化手法の知見を得ることを目的に、平成26(2014)年度から蓄電池併設型の風力発電の出力安定化効果の検証等を行っています。
本実証研究は沖縄県の「沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」を活用して設備を構築しています。
(2)大宜味風力実証研究設備の概要
沖縄県大宜味村に、総出力4,000kW(2,000kW×2基)の風力発電設備を設置しました。年間想定発電電力量は一般家庭約2,200世帯分の電気使用量に相当します。
また、風力発電の出力変動を抑制するために、鉛蓄電池を設置しました。
名称 | 大宜味風力発電実証研究設備 |
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規模(発電出力) | 4,000kW(2,000kW×2基) |
年間想定発電電力量 | 約800万kWh |
運転開始 | 平成26年3月24日 |

(3)実証研究の概要
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- 出力変動抑制制御
- 突風等により急激に変化する風車の出力変動を蓄電池の充放電によって、緩やかにします。
- 下の図に示すように、例えば20分間で、出力変動の幅を定格出力の10%以下に維持するよう制御を行います。
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- 出力一定制御
- 突風等により急激に変化する風車の出力を蓄電池の充放電によって、一定にします。
- 下の図に示すように、例えば30分間毎に風速から平均出力を求め、風車の出力を一定にする制御を行います。
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上記①、②の制御毎における出力変動の安定化効果を出力変動幅や蓄電池容量から評価します。
(4)今後の展望
本実証研究で得られた知見をもとに、風力発電が大量に導入された場合には、電力系統の安定運用が維持できるよう対策し、低炭素社会の実現に向けて引き続き取り組んでいきます。

*大宜味村 石山展望台にて撮影